ベローズとダイアフラムは同様の使用目的で採用されることが多くあります。そこで選択に際しての指針を以下の比較表で説明いたします。


 軸シール 芯ズレ吸収などの軸直角方向の裕度が取れ、また径を小さくできる 軸心を常に一定位置に保持できるため、位置決め性が良い
 加圧・真空シール デッドスペースがあり置換性が劣るためにコンタミネーション発生の配慮を要する 置換性・洗浄性が良いので流体が汚染されにくい
 受圧機能 変位しても受圧面積がほぼ一定なので圧力に比例した力を得ることができる 受圧面積が形状によって変化するが、定位置での安定性が良い
 耐圧特性 多層化によって高耐圧化が可能 板厚のアップにより高耐圧化できるがレスポンス減少
 隔膜機能 容積変化を大きく取れるので追従性があり、また接合の影響を受けにくい 構造をシンプルにでき、バックアップによって耐圧性を向上できる
 変位機能 大きな変位量を取ることができる 小さな変位量しか取れない(カプセル積層により大きくなる)
 リニアリティ機能 非直線性のコントロールが困難 非直線性1%以下を安定的に製作可能
 非線形動作機能 コントロールできない 特定位置で圧力や力による動作の変化調整が可能
 回転導入 可 能 不 可
 トルク伝達 ネジレ角が小さく角曲げ・芯ズレ調整共に可能で、精密制御用として利用 構造的に限界があり採用例が少ない
 容積変化機能 容積変化が大きいのでポンプ・アキュムレータ・ガスクッション・ダンパーなど容量の自由度大 小さな容積変化で良い場合はコンパクトに収納できコストパフォーマンス大
 防振機能 柔軟性があり大きな変位を取れるので防振効果が大きい 小さいが効果あり
 バネ性機能 変位に対するバネ追従性があるので均一荷重でのシール性が得られる スナップアクションやクリック機能を得ることができる
 配管機能 自在性を活かして広い範囲で利用可 期待できない
 推力発生機能 軸方向の受圧面積(推力)がダイアフラムに比べ大きい 推力は小さいが軽量コンパクト化が可能
 量産性 成形ベローズは数万個以上の量産性が得られるが、ロールベローズや溶接ベローズは量産性に欠ける 数十万個などの大量生産可能
 価 格 品種と数量によって価格が大きく異なる
一般にダイアフラムより高価
オーダーメイドが主のために初期金型投資が必要だが、製品の低価格化が可能
 納 期 品種により異なる
一般にダイアフラムより制作期間が長い
初期の金型制作期間を除き、製品の短納期化が可能