溶接ベローズは同サイズの他のベローズと比較した場合、次のような特筆すべき特徴を有しています。



■変位量(軸方向変位・角度変位・軸直角方向変位、およびそれらを組合せた変位)を多く取れますので、使用条件が同じであれば疲労寿命回数の向上が期待できます。


■柔軟性があることから、圧力や外力に対する応答性の向上や変位の際に必要となる外力が小さくて済むなどのメリットがあります。また、振動などの外力を吸収する効率が高くなります。


■波状に成形されたプレートは表面積が大きく、さらにそのプレートを積層して山数を大きく稼ぐことができますので、放熱効果が高くなります。



○溶接ベローズを実際に使用する際には、次の点にご注意ください。



■ベローズには固有振動数があります。装置などに振動があると、その振動数がベローズの固有振動数と同じである場合に共振現象が起こり、過大変位が部分的に発生することもありますので配慮が必要となります。

■溶接ベローズは波状に成形されたプレートを交互に積層していますので、プレートとプレートが重なった部分(溶接部分の近く)には僅かな隙間があります。この隙間は伸び変位によって広がっているときはガスや液体、時には粘性体や粉体などが侵入しやすくなり、侵入したままの状態になると溶接ベローズが収縮する際に障害となってプレートに変形を与え、破損に至ることがあります。

■前記同様に異物が内部に侵入して滞留し、利用される物質を汚染させたり、真空排気がスムーズに行われない場合がありますので配慮が必要です。

■溶接部分との境界部は変位動作の際に応力の支点となりますので、伸び方向に対しては応力集中が起こりやすく、疲労寿命の低下をきたす場合があります。